モラハラによる離婚請求

Posted by / 2012年1月2日 / Categories: 離婚ガイド / 0 Comments

1. モラハラとは

近年、テレビや新聞などで取り上げられることの多くなったモラルハラスメント(以後モラハラ)ですが、そもそもモラハラとは何なのでしょうか?

「モラハラ」とは、フランスの精神科医によって提唱された概念で、言葉や態度で相手の人格を繰り返し執拗に傷つけ、その恐怖や苦痛によって相手を支配し、思い通りに操る暴力のことをいいます。

暴力と言うと、殴ったり蹴ったりなどの身体に対する直接的なものをイメージしがちですが、モラハラも暴力です。夫が妻のやることなすこと全てに文句を言って叱ったり、怒鳴ったり、深夜に何時間も延々と人格を否定するような罵倒をしたりなどはモラハラの典型的なケースです。

2. モラハラでの離婚

夫からのモラハラが続くと、一緒に生活することも嫌になり、離婚して解放されたいと思うのもやむをえません。では、モラハラによる離婚請求は通常認められるものでしょうか?

モラハラによる離婚請求は、そもそも民法で規定されている離婚事由の中には「モラハラ」はなく、「婚姻を継続し難い重大な事由」に認められるかどうかが問題になります。

モラハラの場合は、加害者にモラハラの意識がないというケースが多く、妻を教育していただけだと本気で思っているケースもあります。また、離婚調停や裁判で加害者が認めることはほとんどありません。そこで離婚できるかはとても難しい問題です。

ですから、まずモラハラがあった場合は、その暴言をテープに録音したりして証拠をとっておくことが大事なことです。

現実的にはモラハラでの離婚訴訟は裁判所としても認められないこともあります。たとえば、1991年3月20日名古屋地裁岡崎支部判決で、有名な青い鳥判決と呼ばれるものがあります。この判決では、30年間の結婚生活で暴力行為や執拗なモラハラがあった事実は妻の主張をそのまま認めたものの、「妻が充分に夫の世話や家業の手伝いをしない」という夫の弁解にも共感を示し、婚姻生活の継続は可能としました。

ですから、実務上はモラハラのみで離婚請求をするのではなく、その他の事情も併せて主張することが多いのです。いずれにせよ、モラハラは1人で悩んで解決できるものではありません。早期に弁護士に相談する勇気を持つことも大切なことなのです。


  

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