最近は、核家族化が進み、若いお母さんがお子さんを生み、一人で誰にも相談できず、夫は仕事で忙しく育児協力もない、子育て用の本を頼り本のとおりにお子さんが育たないと不安になったりいらいらしたりして、育児ノイローゼになってしまうケースがあります。また逆に、お父さんの方が育児ノイローゼになってしまう場合もあります。
育児の困難さが夫婦生活にマイナスに作用し、離婚するケースが協議離婚や調停離婚には存在しています。
1. 育児ノイローゼとは
育児ノイローゼは、病名ではありませんが、「育児ノイローゼ」で悩んでいる夫婦は世の中に非常に多く存在します。
育児ノイローゼの状態は、原因はストレスやホルモンバランスの崩れと考えられています。出産後1年程度の間に起こる精神的に不安定な状態の事を指します。例えば、以下のような状態が上げられます。
- 無表情になり、ぼんやりとしていることが多い
- 元気がなくなり、話しかけても反応がにぶい
- うつろな目つき
- 頭の中がパニック、思考能力の低下
- マイナス思考、悲観的な考え方になる
- 関心・意欲の低下
- 不眠症、睡眠障害・注意力の欠如、もの忘れ
- 家の中に閉じこもりがちになる
- 食べ過ぎたり、極度に食欲が無くなったりする
以上のような症状が見られた場合には、要注意です。育児ノイローゼから、子供の虐待へとつながることも非常に多いのです。
育児ノイローゼが法定離婚の原因には認められていませんが、法定でもしばしば争われる育児ノイローゼを原因とした離婚裁判の多くは、婚姻関係を継続しがたい重大な事由の有無や婚姻関係の破綻が争点となります。
2. 民法770条に定められた5項目の法定離婚原因とはどういうものでしょうか?
法廷離婚原因には以下のものがあります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない精神病
民法では配偶者のどちらかが「強度」の精神病で、回復の見込みがなければ離婚を認めています。配偶者が精神病にかかってしまっただけでは、離婚は認められません。最終的には専門の医師の診断を参考にして、婚姻生活の継続が困難かどうか、裁判官が判断します。
今回問題になる項目は、4番目の「回復の見込みのない精神病」です。精神病に対する治療費は誰が出すのか、離婚を請求する配偶者が誠実に看病を尽くしてきたこと、離婚後は誰が看病するのか、治療が長期に渡ること、など今後の生活に具体的な方策がなければ離婚は認められません。
また、離婚が認められる高度な精神病としては、躁鬱病(そううつびょう)、偏執病、早期性痴呆、麻痺性痴呆、初老期精神病があります。(ノイローゼ、ヒステリー、神経衰弱、アルコール中毒などは、精神病に属さないと解釈されています。)
ある程度、精神病者の今後の生活などについて見込みがついた上でないと、離婚が認められるのは難しいでしょう。また、民法の改正審議では、精神病離婚の項目を削除する方向で進んでいます。
婚姻を継続しがたい重大な事由
上記の民法770条の4項目には該当しないが、夫婦関係が破綻してその復元の見込みがない場合には、婚姻を継続し難い重大な事由として、離婚原因になることを認められています。
3.まとめ
育児ノイローゼが、離婚原因として認められるかは、個々の事情において、裁判官が総合的に判断します。
複雑な問題ですので、お悩みの際は是非一度専門家である弁護士にご相談ください。平間法律事務所では年中無休で無料の電話法律相談を運営しております、あなたのお役に立てれば幸いです。