離婚に伴う不動産の財産分与とは

Posted by / 2012年1月2日 / Categories: 離婚ガイド / 0 Comments

1. 財産分与とは

財産分与とは、婚姻中に夫婦で収得した財産を離婚に際して清算し、分配することです。

結婚前から存在していた貯金や結婚前から所有していた家具、親から相続した財産などは特有財産となり、その対象にはなりません。

財産分与は、民法にも明記されており、堂々と請求できる夫婦がお互いに持つ権利であり分配されるべきものです。

2. 財産分与請求権の期限

財産分与請求権は、離婚後2年以内に請求しなければ請求権が失われてしまいます。

3. 財産分与の内容として認められているもの

①清算的財産分与
不動産(建物、土地)、有価証券(ゴルフ会員権など)、現金、預金、動産(車、家具など)生命保険金、退職金、年金、恩給などが該当します。

婚姻中に夫婦の協力で築いた財産が、仮に夫名義、妻名義であっても、また、妻が専業主婦で収入が無くてもそれとは関係なく夫婦共有財産とみなされ清算し分配されなければなりません。住宅ローンが残っている場合も、負の財産として清算的財産分与の対象になります。

②扶養的財産分与
離婚後、強者から弱者に対して行う扶養です。

夫婦が離婚する場合、夫は今まで通りの仕事を継続し収入を得て自分の生活を維持することができますが、専業主婦で収入が無い、ましては、小さい子供がいる場合、離婚後なかなか妻が仕事を見つけ、生活費を稼ぐことは、困難なのが現状です。そのため妻が自活できる能力を得るための一定の期間、夫が生活の保障をする形の財産分与が扶養的財産分与です。
(自立の援助のほかに、高齢である、病気である、子どもの監護のためなどもあてはまります。)

③慰謝料的財産分与
慰謝料も財産分与の範囲で処理する場合もあります。しかし一般的には財産分与とは分けて別途、慰謝料の請求や算定を行うことが多いでしょう。

④過去の婚姻費用の清算
婚姻関係が継続しているかぎり、同居、別居にかかわらず夫婦はお互いに扶養義務があります。したがって毎月の生活費を請求することができます。そこで別居中の生活費未払いの期間がある場合、その分の生活費を財産分与で調整することがあります。

不動産の財産分与に関してのQ&A

Q:ローン付不動産(住宅)の場合、財産分与額は?

A:住宅の時価から分与時のローン残債を差し引いた残りの額が財産分与の対象になります。

例えば、住宅の時価が6000万円で、夫名義の住宅ローンが4000万円残っていたとすると、6000万円から4000万円を差し引いた残りの2000万円が財産分与の対象になります。夫婦それぞれの財産分与額は 1000万円ということになります。

Q:不動産(住宅)を財産分与のために売却する場合は?

A:居住用不動産については譲渡所得について「3000万円の特別控除」と「居住用不動産の軽減税率適用」があります。

Q:不動産(住宅)を財産分与として譲渡する場合は?

A:財産分与として居住用の不動産を譲渡した場合も3000万円の特別控除の特例の適用があります。(売却利益が3000万円以内の部分は非課税です)。この特例を受けるためには、注意すべきことは、親族以外への譲渡が要件となっていますので、離婚して親族ではなくなった後に財産分与として不動産を渡す必要があります。所有期間が10年を超えていれば「居住用不動産の軽減税率適用」の特例を受けることができます。

Q:不動産(住宅)の財産分与で婚姻期間が関係ありますか?

A:婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、居住用不動産を贈与しても引き続き居住するときは、基礎控除110万円のほかに2000万円の配偶者控除がありますので2060万円まで非課税です。

Q:ローンの無い不動産(住宅)の場合どうすればいいですか?

A: 次の3つのケースが考えられます。
①住宅を売却して、そのお金を不動産の財産分与として夫婦で分ける。
②夫婦のどちらかが住宅を単独所有し、相手の持分についてはお金を払う。
これらの方法を取るのが一般的です。

Q:ローン付不動産の場合どうすればいいですか?

A:次の2つのケースが考えられます。
①売却して利益が残ったらそれを財産分与として分け、ローンが残れば夫婦二人で払う。
②夫婦どちらかの単独所有にして、所有者が残りのローンを引き受け、価値を精算する。ただ、ローンの借主を当事者同士で決めても、この約束は債権者には対抗できませんので、ご注意下さい。あくまで、当事者間の約束に過ぎません。

この他にも何か離婚に伴う不動産の財産分与でお困りの場合、分からない点等ございましたら、お気軽に平間法律事務所までご相談下さい。お電話やメールでのご相談は無料となっております。


  

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