1. 不妊は離婚理由になるか
「嫁して3年、子なきは去る。」と言われていたのは、昔のことです。たしかに昔は不妊だから、離婚されても仕方がないという風潮がありました。
けれども今では、不妊は離婚理由として認められません。男性が原因の不妊の場合も同じです。不妊の原因が不明でも、明らかでも、離婚はできません。
しかし、結婚して当然に子供がほしいと思っている場合、不妊は結婚生活を営んでいくうえで大きな問題となります。また、残念ながら親戚や世間の対応も辛いものとなるかもしれません。
たしかに、不妊は離婚理由としては、法律的には認められません。しかしそれは、離婚について争って裁判になった場合に、判決として離婚請求が認められないということです。離婚の9割は協議離婚ですし、裁判離婚になるケースはごく少数です。
ですから話合いで、お互いに離婚に合意すれば協議離婚や調停離婚で離婚できることになります。
2. 不妊から生じる離婚理由
不妊が直接的な原因でなくても、不妊から様々な問題が生じて、それが離婚理由になることはあります。
(1) 暴言・暴力
性的なことや、不妊であることを責めるような、つまり、人格を否定するような暴言を繰り返し吐いたり、暴力をふるうようなことがあれば、それはDVです。DVは立派な離婚理由です。
(2) 不貞
例えば、子どもが欲しいのに相手が不妊であるといっても、不貞があれば、離婚理由となります。
(3) 破綻
不妊が原因で、婚姻生活が著しく破綻しているようであれば、破綻の状況や程度によりますが、離婚が認められることもあります。
不妊であっても、家庭の事情はさまざまです。弁護士が個々のケースに応じて、アドバイス差し上げますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。